かんぴょう巻きときたら助六寿司、
助六寿司をつくるときたら、胡麻、大葉、生姜は入れたい、
胡麻、大葉はあるけど、生姜がない、
生姜がないときたら、動くしかない。
寒いなかめんどくさーい!
なんて思いながら近くのスーパーへ。
近くのスーパーへいったら立ち寄るのが、
例のシマアジとであったお魚屋さんコーナー。
遠くからアカヤガラが出ているのがみえて
ヤガラも捌いてみたいなぁ…なんて思いながら近づくと
50cm四方の発泡スチロールに、
ボヨボヨとした得体のしれないものが
ヌタヌタとひしめき合って詰められているのが目に入る。
な…なんだろう、これ。
アンコウだったらもっと大きいだろうし…
そこにお店の方がきたので
このボヨボヨしたのなんですか?って聞いたら
「ホテイウオ」と書かれた手書きの値札を取り出しながら、
ごっこです〜、500円。
ごっこ…!
名前は、聞いたことがある。
ごっこ汁とか。
次の瞬間、後先のことを考えずに
これください〜!!

はい、仕入れてきました。
「ごっこ」です。
長辺25cmのバットの上で体を曲げてこんなかんじ。

体は、言葉通りヌメヌメ。
手で触れると、ナマコ掴んだときみたいにベコって凹むから
ますますこわい。
そして何がおっかないって、
かお、よね。
凶悪すぎる。
こ…これ触れるかな…
って感じだったんだけど、
見て終わるだけなんてもったいないし…
(なんのために買ってきたんだってかんじだし…
がんばるか。
いざ、ごっこと向き合う。
この、ごっこ。
代表的な食べ方は「ごっこ汁」で、
その他「ごっこの唐揚げ」「ごっこのバター焼き」なんかがあるみたい。
3種類も作れないから、
調べるととにかくでてくる「ごっこ汁」と、
お手軽に作れそうな「バター焼き」、
この2品を作っていこうと思います。
<ごっこ汁材料>
ごっこ(頭、クチ、骨のある半身、肝、白子、胃)
長葱 1本
万葱 2、3本
出汁昆布(水にだしておく)
水 400ccくらい
酒 100ccくらい
薄口醤油 大さじ1くらい
濃口醤油 小さじ1くらい
味醂 小さじ1くらい
塩 いい塩梅
※おじやで〆る場合は、
冷飯、卵、酢橘、塩
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まずは、ヌメヌメしていると捌きにくいので、
熱湯をわ〜!っとかけます。
体表の色がサ〜っ!と変わるので
コワイ。

一気にガバっとかけると、
たぶん急激に縮んで中からブリっと何かが出てきそうなので
ゆっくり静かにかけてあげてみました。
お水をながすと、こんな感じにベロベロ〜っと
ヌメヌメが凝固?して剥けるので、
手やタワシでなでながら磨いていきます。

そうすると、こんなかんじに、トゥルトゥルに。
それでもツルツルしているけれど、
だいぶ手で持ちやすくなりました!

捌いていきますが、、
お腹に吸盤があるので(うへぇぇ〜;;)
まずは、腹腔に隙間ができるように吸盤を持ち、
吸盤に沿って刃を入れて、吸盤を取り除きます。

肛門から胸部に向かって刃を入れていくパターンもあったけれど
吸盤から外したほうが、内臓を傷つけにくいような気がしました。

刃をズっと入れすぎると、
直下にある心臓と肝をぶった切ることになるので
吸盤を持って内腔に刃を細かく入れていくようにすると、
あら、きれい♡

吸盤がとれると、ぽっかり穴が空き、
腹腔がよく見えるようになるので、
内臓を傷つけないように、肛門に向かって刃を入れていきます。
吸盤を食べる人もいるそうですが、
硬いのかな?
あまり美味しくないみたいだし、気持ちが悪いので、
シンクへポイさせてもらいました。

ツルツル滑るので、
スッスッと、狙いを的確にして刃を使っていきます。
ピントがずれちゃってるけど、
開腹すると、大きな肝臓(肝)と、白子がドゥルドゥルっと出てきます。
たまごじゃなかった…
けど、オスのほうが身が美味しいそうなので、アタリ!だったかな♡

肝、白子の間に消化器官があるので、それぞれを丁寧に取り外し、
消化器官については、胃袋を取り出す。
腸も食べられるみたいだけど、わたしが見たサイトは胃だけだったので
腸さんはシンクへポイしましたm
胃袋は刃を入れて開き、
ヌメりがあったので、塩でゴシゴシ揉み洗いしてみました。
白子に血合がついてくるので、血合は取り外してポイ。
血合がついてこなければ、背骨についているはずなので、取り外してポイ。

さて、内臓が取り出せたところで、
本体を解体していきます!
口を頭の上から刃を入れて、取ります。
フグを捌くときみたい。
歯は食べられないので、捨てる方もいるみたいだけど
魚はクチこそが旨いはず!なので、とっておきます。

口を切り外して、
喉を切り開くとこんなかんじに、ベローン!
ここまで磨けると、
奇怪な生き物じゃなくて、フグみたいに知った魚になるので
気持ちが随分楽になるw

頭部を外していきます。
胸ビレあたりに穴があるので
穴を目安にヒレの後ろから頭頂部に向けて刃を入れて、
頭を取り外します。

取り外した頭は、縦半分に切って、
胸ビレの裏にあるエラを取り外します。
膜に覆われているので、エラだってわかる感じではないけれど、
このあたり?って刃を入れると、ズルっと取れてくれますb

頭を取り外すと、胴だけになるので、
2枚におろしていきます。

トゥルトゥル、ブリブリしてるから、
捌きにくいことなんの。
ごっこの下にダスター敷いておいたら滑らなくてよかったのかな?
磨いた、頭、クチ、胴は、
用途に合わせて食べやすいサイズに切り分けます。

それぞれを調理していく前に、
身を下茹でします。
わたしは、なんとなく胃袋も下茹でしてみました。
肝と白子はそのまま。

身がキュっと縮んで、
なんだろう…例えようがないのだけど、
ブリブリ弾力がある感じに。
フグ皮の超ブ厚いかんじ、かなぁ?

水を張った鍋に昆布を30分ほど入れて戻しておきます。
昆布が戻ったら火にかけ、
80度(気泡がふつふつでてくる)くらいであげます。

湯が沸騰したら酒を入れ、
下茹でした身を入れてひと煮立ちさせます。
あくがでてくるので、こまめに取り除きます。
これが、ごっこ汁を美味しくする秘訣だそうで、
あくを取らないと臭みが臭くなるらしい。
あくってそういうものよねw

あくがきれいになったところで
肝(切り分けても崩れない)、白子、下茹でした胃を入れ
あくをとったら、
長葱を入れ、醤油、味醂、塩で塩梅を整えて、
長葱が柔らかくなるまで蓋をして、弱火でくつくつ3分ほど炊きます。


この間、味見をするんだけど、
まったく扱ったことがないうえ、食べたこともない食材だから、
「味」がわからないの。
なんて言ったらいいのかしら。
例えば、知らない国のお料理でも、扱ったことのある材料だったら、
なんとなくそんな味になるのかな?
っていう想像ができるけれど、
ごっこ自体が未知の食べ物なわけ。
味がまったく想像できないから、
こまめに味見をしながら
「こういうもの」
と、新たな情報として覚え込まないといけないってかんじなのよね。
この感覚が、とてもおもしろい。
お鍋から蒸気が吹き出してきた、かな?

葱も柔らかくなったかな?
温かいうちにいただきましょう!

味は、なんだろう、フグ?
すごく爽やかなタラ?
白身のムッチリした感じのお魚のお出汁。
お醤油を入れただけだと、ただの薄い魚の汁だったのが、
長葱を入れたらグっと味が深くなって、魚の味がドーンでてきたんだけど、
万葱を入れたら、さらに爆発!!
ごっこが旨味の塊になって襲ってくるかんじ。
(ごっこの味、はじめてだけど!

身は、
下茹でしたときは、ピンポン球みたいにブリンブリンだったけど
炊いている間にコラーゲンが溶け出したのか、
トゥルントゥルンに。
骨も、やわやわ♡
これは、明日には幼児のような
しっとりプルプルのお肌が手に入るかもしれない…!!
(欲張りすぎ?

お出汁がほんと、フグみたいに美味しかったので、
炭水バケモノ食べるのどうしよう…って悩みながらも、
己の欲に打ち勝てず、冷飯を入れておじやに。
あぁ、なんてわたしって弱い人間なのかしら!

酢橘をキュっと絞って、
粗塩をパラりと振れば、
そこはもう、濃厚な「ごっこごっこ」の世界!
遊びきりました♡

そうそう、バター焼きが忘れ去られていました!
<ごっこのバター焼き>
ごっこ 下茹でしたもの
バター 適量
ニンニク 1カケ
濃口醤油 適量

熱したフライパンでバターを溶かし、
ニンニクを入れ、香りがたったらごっこを入れ、炒める。
全体に火がまわったら、醤油を回しいれ、香ばしくなったら完成!
レモンを入れようかな?とおもって用意したけど
ごっこがとても淡白なので、このままでよさそうb

トゥルントゥルンなごっこ汁とは一風変わり、
プリンプリンな食感!
でも、プリンプリンなだけ、といえばそういう感じなので
唐揚げにしても、たぶんそんな感じなんだとおもう。
これを食べると、ごっこのレシピが
ほぼ「ごっこ汁」になる理由がよくわかるw
500円でこれだけの味が楽しめるなら、
クセになってしまう!
最初はほんと触れるかどうかも不安だったけど、
次にスーパーでみかけたら、躊躇することなく、
ごっこください!