さよなら、せいろ。こんにちは、せいろ。

シュウマイになんて手を出してしまったのがいけなかった。

久しぶりにせいろを棚から出してきて
シュウマイの試作を1回、2回…なんてしているうちに…
買った当時から気になっていた杉の匂いに加え、経年の飲茶の匂いも絡み、
そして、鍋肌で焼かれて、使うたびに焦げが深くなり、崩れる底。


やっぱり買い換えたい…。

せいろとの出会いは、バイトをしていた調理場。
そこのレストラン?が、和食と中華を出していて、
その中華を、特一級厨師をもつラーさんがつくっていたんだよね。
この、ラーさんのつくる金華豚を使った春巻きがとにかく美味しくて、
バイトに入った直後に、ラーさんがこっそり、
はい
って、食べさせてくれた、あの味が忘れられない。

そう、あの春巻きも作れるようになりたいなぁ…!
もう15年以上も昔のことだけど、
材料は盗み見して覚えているし、味も記憶に残っているからいつか!

と、話が逸れてしまったけれど、
そこで、小籠包とシュウマイ、温野菜を、せいろで蒸して出していたの。
小籠包とシュウマイは、たぶん高瀬物産の冷凍だったと思うんだけど、
きちんとせいろに合わせて切った蓮の葉を敷いて。

たぶん、会社の方針としては全部冷凍にしたいところ、
春巻きと蓮の葉だけは、ラーさんがゆずらなかったんだろうな、って
なんとなくそう思っていた。
本当のところはわからないけれど。

その、ラーさんが淡々と中華を作り、
淡々とせいろに蓮の葉をセットしている姿に憧れちゃって、
牛刀やペティ、やっとこ鍋を揃えたのと同じくらいの時期に
このせいろも浅草の合羽橋で買ってきたんだよね。

やっぱり、これも思い出がいっぱいだから、
捨てるに捨てられず、買い換えることもできずにきたの。

でも、流石に、底があまりに崩れて鍋に埋まりすぎてしまううえ、
蓋を開けると、積年の香りがムンワリと昇ってくるようになったので、
いい機会だから…と、なんとなくブラっとブラウザを眺めてみると、
これがなかなか難しい。

どんなに欠点があろうとも、
長年連れ添ってきた相方への思いや愛情は厚く、
その思いを断ち切れるくらい、ともなると、
今まで以上の価値が見出せない限りは、満たされないわけで。

こうやってズルズルしてしまうのが、
わたしのいいところでもあり、悪いところでもあり。
スパっと竹を割ったように物を捨てられたら
人生が変わるだろうな〜…なんて♡

そんなこんな、みているうちに見つけたのが、コチラ!

じゃじゃーん!

横浜中華街で、せいろを専門に取り扱うお店「照宝」さんのせいろ!

美しくない??
ところどころ針金が使われているので、ん?とは思うけれど、
せいろ屋さんがそう作るのであれば、それがいいんでしょう。

いままでは杉だったんだけど、香りがあまり好きではなかったので、
竹か白木で悩んで、白木に。

「軽やかな造りのせいろ。竹同様に止め具の部分に金具を使用し、より丈夫に造られ木の色が白くきれいです。
竹素材同様に蒸し上がりは無臭に近く、素材本来の味も楽しめます。」

ついでに、いままで鍋に直接置いていたんだけど、
それをすると鍋肌で焦げてしまうので、
「セイロ用蒸し板」というのも合わせてお取り寄せしてみました。

やっとこ鍋の上に、蒸し板を乗せて、せいろを乗せる。

見た目、パーフェクト!!

早速何か蒸したい〜ッ!
とおもったら、
「はじめに15分位空蒸ししてください。木の匂いがきえます」

急かないでも、空蒸ししていいっていうから、やったぁ♡

鍋にズブっと入れて蒸していたのとは大違い。
なんか本格っぽくて、嬉しい。
これなら、焦がさずに、20年でも30年でも使えそう!

そう思うと、この子が使い込まれていった姿の想像がふくらんで、
わくわくするね。

そう、この「わくわく」がないと、
どんなに臭くてボロボロでも、なかなか古いものを捨てられないのだ。

目下の願いはひとつ。
シュウマイを、ふかふかに美味しく蒸したい。

心残りはあるけれど、
古いせいろは灰に還し
澄んだ蒸気が吹き込む、新しいせいろで蒸しましょうか。

ン〜〜♡
いびつなシュウマイが気になるけど、すごく綺麗!(涙

温野菜は、切って生のまま、沸騰から15分。
玉ねぎもキャベツもトロトロ♡
ニンジンは柔らかくほんのり良い食感が残るくらい。
どれも甘くて最高!
 
わたしも、
この子みたいに甘ーく蒸せる蒸し器のようになりたいな。
そのためには、しがみついているものから脱しなくてはーッ
あァーーむりぃぃぃ〜!

ごちそうさまでした♡

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