このところ贅沢しすぎで
去年の9月から3ヶ月かけて9キロ絞ったのに
年末年始にお酒の誘惑に駆られて、この半年で5キロ増。
体重は増えるいっぽうでお財布はぎゅぅぎゅぅと絞られる始末…トホホ。
これは緊縮せねば…と思いつつもタンパク質は摂らなくてはいけないので、
お肉が安い、いつものヨーカドーまで運動と節約を兼ねて
およそ2キロの道のりを25分ほど歩くのが
今の場所に引っ越ししてからのお楽しみ。
さて、お肉を買いにきたものの、やっぱり鮮魚コーナーは覗きたい。
と覗き込んだものの、
対面コーナーがガラガラ。
このところお天気だったとおもうけど…上がらなかったのかなぁ?
なんて思いつつ脇に目をやると、
最近ここにいるサワガニのお隣に大量のウネウネとうごめく物体が…。

『大分 旬です どじょう』
キャー♡
どじょうだー♡
駒形どぜう!どぜう鍋!!!
(´-`).。oO
なんて心躍りながら、
「どじょう、ください!」
とはいったものの、
「何グラムでしょう?」といわれて、はて?
どじょうをみて
あぁ、これ80グラムくらいだわよね!
うんうんーッ
とかって、わかるもの??
あまりわからないわよね。
困惑していたら、おにいさんが量りを持ってきてくれて
これで100gね、と見せてくれたのがちょうど「記憶にある鍋」にできそうな量。
で、100gをお買い上げ♪
これで680円だっていうから、牛肉に匹敵するわよね。
緊縮生活のための買い出しだったのに!!
わたしは誘惑に勝てない、弱い人間なのです。
だって、人間だもの。
しくしく。
さてさて、これをどうしたろうかしゃー!
いえいえ、どうしてやろうじゃなくて決まっています。
『駒形どぜう』の「どぜう鍋」が食べたいと思って
この高級魚を買ったのです。
いっちょ、やりますか!
ところで、お店の値札「とじょう」になっていますね?
どじょうになる途上で、未だどじょうではないのかもしれない。
<材料>
どじょう 100g
長葱 2本(2時間以上楽しむならもっと)
<煮汁>
味噌 大さじ2
水 360cc
酒 180cc
茅乃舎減塩出汁 1パック
煮詰まったときの追加出汁 適量
どじょう(鰌・鰍)
江戸から続く「駒形どぜう」があるということは、
江戸時代の書物にも残っているはず。
ということで、古本臭のする『本朝食鑑』を調べてみましたところ、
しっかり書かれておりました。
形状やその他もろもろのことが書かれている次に
食用としての効果や効能がかかれていて、
主治は、
「腹中を煖め、気を益し、腎を補い、血を整え、専ら陽道の衰廃を興す…」
とにかく、体にいいってことみたい。
そして、附方には…
「痰涎喘息。新鮮な小鰍三頭を盤水に入れ、泥を吐かせ、一頭毎に冷水で飲み下す。
三頭を飲み下すと、涎・喘は自然におさまる。」のだそう。
なんかね、ウネウネ動くのをみながら
「これ、活き食いできるかな…?」っておもったけど
川魚だから寄生虫いるかな…!?と思った瞬間躊躇して、
全部調理しちゃったのよね。
ものはためし、一尾くらい飲み込んでおけばよかった。
漢字はいくつかあって、
鯲(日本製の漢字)で書かれており、
俗語として鰌魚、鰍魚など。
鰍と書くとカジカと読んでしまうけど、ドジョウのことのよう。
ちなみに、このころには田んぼで養殖がおこなわれていたみたい。
でも、栄養豊富だから形は肥大だけど、骨も身も味もよくなくて、
清水に住むものが良いとしているみたい。
そんなこんな、前知識を得まして…
「駒形どぜう」の「どぜう鍋」を妄想再現。
「駒形どぜう」の「どぜう鍋」を最後に食べてから何年経つだろう。
すくなくとも10年は経っているし、
そもそもレシピがわからない。
けど、記憶は残っているから、これを頼りにいってみよう。
まずは、お葱から。
何と言ってすることはなく、ただ輪切りにしていくだけ。
細さとか気にせず、ほんとザクザク適当に。
どじょうより葱を食べるお料理なので(わたしはそう思っている
とにかくたくさん、食べられるだけ。

綺麗だね〜!!
これだけで、もう気分が盛り上がりすぎて満足♡
人数いたらもっと、てんこ盛りにしたい。
お葱が準備できたところで、
それでもと思って「駒形どぜう」をググってみたところ…
「源泉したどぜうを酒に漬けて酔わせ、
甘味噌仕立ての味噌汁で煮込んだあとすくい上げ、
さらにダシのきいた割下で煮こみます。
丸のままたっぷりネギをのせてお召し上がりください。
どぜうとネギを組み合わせることで、さらに美味しく召し上がれます。
江戸時代から続く調理方法でどぜうを堪能してみませんか。」

この、ウヨウヨと蠢く子たちを、どう調理したものかと思っていたけど
なるほど、酒に酔わせてしまえばいいんだね!
フフン、わたしと一献やろうではないか!

といって日本酒をダバダバーッ!っと入れたところ
まぁ、大変♡
酒だ酒だー!と言わんばかりに、ビチビチと暴れることなんの。

こっちまでお酒を浴びる勢いで暴れるし
このままの勢いで、てんでばらばらに飛び出していってしまいそうだったので
ザルで蓋をしてしばらく様子をみます。

しばらくするとこんな感じ。
みんなヘロヘロの酔っ払いになってノビノビ。
ときおりピクピクと動くので、死んではいないよう。
あとで知ったけど、大人しくする効果だけじゃなくて、
これをすることで胃袋にお酒が入って、臭みをとってくれるんだって。
さてさて、
暴れどじょうが大人しくなったところで、
煮汁を仕込みます。
ふふふ♡
江戸時代のお料理といえば、もうコレですよね。
「味噌汁」
駒形どぜうが使う味噌汁がどういうものかはわからないけれど、
本朝食鑑に書かれている蕎麦汁を参考に仕込んでいきます。
まずは味噌を、お水と酒で溶いておき、リードで濾します。
毎回コレを使うけど、日本料理って尺貫法だから覚えやすいよね。
お味噌は、塩辛い信州味噌より、麹が多めの甘めのほうが
味醂や砂糖を使わずに麹の甘みが活かせる気が?しています。
味噌汁で炊いたあと、割下で…って書いてあるけど
そうすると味噌汁がもったいないので、
ちょいとわたし流に、この味噌汁ごといっちゃいます♪
なので、この水と酒に溶かして濾した味噌汁に、
今回はお手軽に、茅乃舎の減塩出汁を1パック入れます。
で、くつくつ。
かつお出汁が出たなって感じになったらオッケー。
そしたら、土鍋を用意し、味噌汁を少なめに入れ、
先ほどの泥酔させたどじょうを入れます。

どうやら、滑りをとるために塩もみしてからとか、
湯引きしてから調理する方法もあるみたいだけど
どじょうらしさを味わうなら、お酒を飲ませただけでいいみたい。
そして、お酒を煮切ったあとそのまま入れたせいなのか、
どじょうが背筋ピーンとならなくて、ぐねぐねに。
もしかしたら?冷めたところから炊いてあげたほうがよかったのかな。
でも白魚の場合、ゆっくり火を入れても、結局グネグネになっちゃったのよね。
わからない。
今後の考察案件にいれておこう。
さて、しばらくガス台で炊いたら卓上カセットコンロへ。
骨まで火が通るのに、1時間半〜2時間かかったので、
お店で出てくるものは、そのくらい炊いたものかも?しれない。
わたしはこれから、この円卓でズルズルと葱を貪る予定なので
15分ほど炊いてから移動しました。

あぁ…( *´Д`*)
この風景!
この香り!!
ここに葱を、どじょうを覆い隠すように入れます。

どんなかんじかな〜♪
なんて様子を見るフリをしながら、ちょっと端っこをいただきつつ、
まだまだ待ちます…!!

ここまできたら、いい感じでしょうか!
もう、この風景が堪らないね

このくたくた葱を、ちびちびとお酒を飲みながら半分いただきつつ、
次のくたくた葱のために、新しいお葱を投入します。
これを、永遠続けるのが「どぜう鍋」。

わたし、21歳のときかな?
学生向けの、中国を旅する「奔流中国」というので
船で大阪港から出発して3日かけて上海までいって、
上海、西安、敦煌、ウルムチまで電車で行って帰ってくるっていう
23日間にわたるシルクロードの旅をしてきたの。
高校生のときにセブンイヤーズ・イン・チベットを映画館で観たこともあって
チベットの旅と悩んで、歴史ありそうなシルクロードへ。
これがまたいい旅で。
引率の方が中国人で、行きの甲板で太極拳の第一式を教えてくれたので
旅先で朝や夕方に公園にいくと、大勢の人がやっていたから
それに混じることができたの。
これだけでも、中国にきたなー!っていう充実感たっぷり。
で、ここで出会った仲間たちがなかなかユニークで。
まったくモテなそうな見た目だけど(失礼w)、
調理された昆虫を前にしてもたじろがずに手を付ける慶應生とか、
(ハチノコやイナゴに慣れていても、セミの幼虫や蚕は引いた…ッ
毎夕、太陽に向かって瞑想してはカポエラという競技をみせてくれた阪大生とか、
その中でも、いまだに連絡を取り合っている仲間?が2人いて、
そのうちの1人が、某大学の彫刻科教授。
学生対象なのに、そのハードルを超えてくるあたり…
好感度大!よねw
わたしが美大生だったこともあってか、上野にくるたびに連絡をくださって
ちょうど浅草の馬道通りと言問通りの交差点に住んでいたころ、
先生が連れて行ってくれたのが「駒形どぜう」で、
その時に、「ひたすら葱を食べるらしいですよ」と教えてもらったのが、
「どぜう鍋」だったわけです。
そのときに一気に虜になってしまったのだけど
まさか自分で作れる日がくるとは思ってもみず。
ヨーカドーの鮮魚部、ありがとう。

そんなこんな話していたら、だいぶ葱もなくなりお腹も膨れ、
どぜうも少なくなってきまして。
最後、柳川にしていただくのもよさそうですが、
炭水バケモノの誘惑に打ち勝たないと
一体なんのために片道30分かけて買い物しに出かけていてるんだっ!
ってことになりかねないので
ここはひとつ、耐えねばならないのです。ねばねば!
しっかり精をつけましたので、
また明日から、ギュっと絞っていきましょうか。
っていいながら、すでにやる気ナッシング…
だって、人間だもの…
ご…、ごちそうさまでした!!