祖母の玉ねぎ入り炊き込みご飯

炊き込みご飯といえば、
だいたい、ニンジンと油揚げを基本に、
きのこの炊き込みご飯ならきのこ
五目なら、こんにゃくとかゴボウとかが入るよね。
でも、玉ねぎが入ったものは稀なんじゃないかと思うの。

うちの炊き込みご飯は、
わたしが生まれたときからベーシックに「玉ねぎ入り」。

大正生まれの祖母が、
「チャーハンに玉ねぎが入るんだから、悪くないでしょ」
といって入れたのが「玉ねぎ入り炊き込みご飯」の始まりらしい。

玉ねぎが日本に入ってきたのは江戸時代末期。
長崎に入ってきたものの観賞用に留まったそうで、
食用として試験栽培されたのが1871(明治4)年、
1885(明治18)年に常用野菜として栽培されるようになって、
その後、洋食といった西洋のご飯が取り込まれたことで普及して、
大正時代には里芋と同じ値段にまでなったんだって。

つまり、祖母は玉ねぎと共に生まれて育ったといってもいい歳。

かつての炊き込みご飯には、玉ねぎなんて入っていなかったはず。
なのに、「チャーハンに入るんだから」
といって炊き込みご飯にも玉ねぎを入れるあたり、
「玉ねぎの食材としての価値」をしっかり理解していたってことだし
当時としては、かなりアバンギャルドだったと思うの。

そんな話を、某料亭の料理人に話したところ
早速、次の月のご飯ものに
「玉ねぎ入りの炊き込みご飯」がお目見えしていたという(笑

かれこれ15年も前の話だけど、
祖母の炊き込みご飯がお店のメニューにしていただけたと、
当時は嬉しかったものです。

さて、そんなこんな、
私の作る炊き込みご飯も、もちろん玉ねぎ入り。
鶏ゴボウでも、五目でも、ただの炊き込みでも、
問答無用で玉ねぎ入り。

そんなわたしに届いたのが、「淡竹」。

もちろん、焼いたり煮たりして食べたうえで、
たけのこご飯を作らなくて何を作る?
ですよね!

というわけで、つくっていきましょう。

ちなみに、さっぱり(サラサラ)した炊き込みご飯がお好きな場合は、
玉ねぎは入れないほうがベターです。
 

 

<竹の子ご飯の材料>

基本、具>お米 の配分で作ります。
育ち盛りは遠の昔に終わったので、
炭水バケモノで量増しするような炊き込みご飯は作りませんッ

お米 1合
酒 適量
みりん 適量(玉ねぎが入るので控えめに)
薄口 適量
濃口 小さじ1/2程度入れると味がしっかりする。
塩 お好みで - – – – -ここまで入れて、出汁を入れます。
出汁 野菜から出る水分を考慮して、1合分より少なくなるように

玉ねぎ 小1玉(大1/2)
竹の子 好きなだけ(今回は淡竹1本分)
にんじん 6cmくらい
※お好みで油揚げや鶏肉など。

油揚げを入れる場合で、人にお出しする場合は、
中のお豆腐部分をこそぎとっておくと綺麗に仕上がります。
懐石料理で出てくる炊き込みご飯は、多分そうなってると思う。
 

味に影響する調味料を先にわわわっと入れて、お出汁で水分量を調節します。
玉ねぎやニンジンから水分がたくさん出るので、1合より若干控えめにしておきます。

このお釜の場合は、「すし」目盛りあたりに留めます。
土鍋の場合は、1:1弱くらいかな。
柔らかいのが好きな場合は、1:1でもいいと思う。

炊き込みご飯の具材の入れる順番は、味の濃いもの、旨味が出るものを一番上にして、上から下へ、旨味がその他の具材を通りつつお米へたどり着くようにします。

玉ねぎは、直接お米に馴染ませたい具材なので、まずは玉ねぎから。

次に、竹の子をたっぷり入れます。
今回は淡竹ですが、竹の子なら真竹でも孟宗でも根曲でも、なんでも。
1合に対して淡竹1本入れています。贅沢♡

細かく切ったほうが上品だけど、家で食べるなら、しっかり歯応えを感じる大きさにしたい。

一番上に、甘みのあるニンジンを入れます。
タンパク質がある場合は、この上にタンパク質を乗せます。
お米1合に対して、これだけの具材が入ります。

今回は、淡竹のお味と香りを殺さないために、油揚げや鶏肉は入れませんでした。

炊き上がりはこんなかんじ。
超具沢山だから、それだけでテンション上がります♪

そして、毎回作るたびに
「おばあちゃんの炊き込みごはん〜♪」
と思うのです。

 
ででんっ!

美味しそう〜〜♡

塩気は控えめにしてあるので、
ここに、お塩を降ったりするのだけど!

わたしは、海塩に酢橘でいただくのが好き…ッ
 

 
玉ねぎの甘みに、竹の子の香り、酢橘のキリリ。
こ〜れが、うまいっ!

劇的にうまい!っていう代物ではないんだけど、
体に染みる美味しさなんだよね。

さらに、お海苔と一緒にいただいてしまったり…!
 

 
竹の子の時期も、この淡竹で終わりかぁ…

と思うと、今年ももう終わったような気分になってしまう。
季節のものって、「そういうもの」よね。

さらに、夏至が過ぎて、今日から折り返し。
どんどん日が短くなるね。

また来年いただけるのを楽しみにしつつ、
旬の食材を1つ1つ味わっていきたいですね。

 
おばあちゃん、美味しいご飯を残してくれてありがとう。
の、感謝を込めて。

ごちそうさまでした!

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