魚を捌くようになったのは、23歳の頃から。
ちょうど釣りにハマっていた時期で、
釣った魚をどうするかと言ったら自分で捌くしか方法がないから、
実家で目にしたことがあった魚の捌き方の本を思い出しながら、
ちょこちょこ捌くようになったんです。
いちばんは、
魚捌けたら、かっこよくない?
という見栄っ張りな癖がそうさせたのだと思う。
今でもそうだもの(笑
そして、それを後押ししてくれたのが、
当時プレゼントしてもらった出刃包丁と、
あとから自分で揃えた柳刃包丁。
包丁選びでも書いたけど、
道具は、自分を育てるためにほんと大事だって、振り返って思う。
その、「魚捌けたら、かっこよくない?」の目標が、
フグと鯉。
フグは、調理師免許を持っていることと、
フグ免許を持つ人の元じゃないと捌けない魚なので
目標といっても夢、です;;
いっぽうの鯉は、別に免許は要らないし、
実家の近所に馴染みの川魚店があるからいつでも捌ける。
けど!
苦玉という胆嚢をお腹に抱えていて、
ひとたびコレを潰してしまったものなら鯉すべてがダメになる、とか、
死んでから時間が経つと全体に臭みが回るから、
生きたものをすぐ捌いていかないとだって聞き齧っていたので、
漠然と、これは魚を捌く技術が問われるんだろうな…と思って、
気軽に捌いてみたい!とか言えずにいたんです。

でも、おととし、わたしの口と包丁を育ててくれた
実家にある鮮魚店がお店を畳んでしまって、
もじもじしているうちに、川魚店もなくなってしまうかもしれない。
そんな圧迫を感じてしまったのよね。
何事も自分が動かないと始まらないし、
いろんなお魚を触ってきて、多少自信はついた(はずだ)し、
内臓もあまり怖くなくなったし、
エラも触れるようになったし、
やってみてできなかったら、また練習しなおせばいいじゃないか!
「鯉、捌いてみたいな」と、思ってからおよそ15年。
えぇ、やっと先月実家に帰ったタイミングに合わせて、
川魚店さんに「鯉捌くの見せてください」って言う決心がつきました。
まずは見学。
予約を入れてはいたものの、
見ず知らずの人間の突然のお願いにもかかわらず
快く受け入れてくださったお店のお父さんに、
心から感謝です。

どうやって使う?から相談した結果、
半身は鯉こく(鱗を取って、骨付き)
半身は洗い用(鱗付きで皮引き)におろしてもらうことに。
あまりご迷惑おかけしても…と思って
行った時は、冊でいただくつもりでいたんだけど、
洗いはこうやって切るんです、とか、
鱗がついた皮は片栗粉を付けて揚げるといいですよ、とか、
尻尾のほうは骨が密だから、こうやって骨切りして…とか、
そこまで教えてくれるの!?
というくらい手元を見せながら教えてくださるから、大興奮!

やっぱり初めてのときは、
乾いたスポンジが水を吸うみたいに準備ができてるから
ひと通り見せてもらえるって、何ものにも変えられない貴重な時間だよね。
見て、コピーして、あとはひたすら研鑽。
わたしは、「見て覚えろ」はすごく嫌い。
だけど、見て覚えるのはとても好き♡
このときの鯉をお料理したのは、コチラ▶︎▶︎
いざ、実践。
さて、先月と同じく、
月イチで実家に帰る日がきました。
「ビニール袋を持ってきたら入れますよ」ということだったので、
やっと捌ける〜♪と、
ウキウキしながら1斗樽用の漬物袋を持ってお店へいき、
こんな感じにお持ち帰りしてきました♪

鯉は、口元にお髭があるのが特徴。
ナマズっぽいよね!
ここに髭がないのが、草魚という外来種。
お城のお堀とかによく泳いでいるのは、草魚が主みたい。

ちなみに、野良の鯉は泥臭く、寄生虫もいるため生食は危険ですって。
そもそも食べたくない…
食用の鯉は、稚魚から清流で育てるので、
臭みがなく寄生虫の危険性もないんだそうです。
本朝食鑑にも鯉が記述されていることから、鯉の歴史は深く、
養殖技術においては、他のお魚よりずっと優れているのだと思う。
ちなみに、本朝食鑑が書かれたころは、
城州(京都)の淀河が一番で、宇治川・勢多川・琵琶湖産がよかったそう。
江東(関東)では、
江都(江戸)の浅草川、常州の箕輪田の鯉が賞美されていて、
信州の諏訪湖の鯉もまた美味だけど、
遠距離のため鮮魚(なま)は送れず、塩漬けや鮓だったみたい。
では、いってみよう〜♪
とにかくビチビチと勢いよく暴れるので、
ひとまず脳天締めして大人しくさせます。
脳天締めは、お魚さんの頭をブっ叩いて脳震盪を起こさせる方法で、
知識がなくても棒さえあればできるので、お手軽ですb
力は強いし、よく滑るので、
頭の上から鷲掴みしてエラに指をズっと入れて固定します。
ちょと怖いけど、ガマン、ガマンッ
小さい時に、岩魚でやった経験がここで活かされるという。

ぐっと抑えたら、×印の脳天めがけて、すりこぎとか麺棒を使ってボカン!です。
自分の指を打ちつけないように、注意!

こんなかんじに、クタ〜っとしたら成功!
ごめんね〜;;
でも、綺麗だね〜!!!
今回は、湯霜造りも検討していたので、もったいないな…と思いつつも、すべてウロコをひきました。
手でペロペロ取れるくらい、取りやすいです。

ウロコを落としたら、尻尾の方から内臓を傷つけないように、腹腔を避けて刃を入れていきます。
わたしの出刃包丁が小さいので、背と腹と分けて刃を入れています。

こんな感じに、腹部がつながった背開きみたいになります!
内臓は、プリプリっと気持ちよく剥がれるので、丁寧に剥がします。
海のお魚よりずっと綺麗!!!
しかも、Very 臭くな〜い♪

内臓を外すと…、
でました、苦玉!
肝臓?っぽい部分に包まれていて、コレ剥がしたら潰れないかな…?!って心配だったので、ボウルにいれてお店に持って行ったところ、苦玉に沿って指を入れて、膜を剥がしていくんだって。
奥からでてきたおかみさんが教えてくださったんだけど、
「やぶれちゃいそう〜;;」と、怯えるわたしに
終始「だいじょうぶ、だいじょうぶ」といって
力強く励ましてくださって。
ご主人もすごく丁寧な方だったけれど、
こうやって、見ず知らずのわたしに丁寧に教えてくださる姿をみると
定期的に鯉を買いにこよう!って思うよね。

<苦玉の取り方>
肝臓に埋まっている苦玉(胆のう)は、胆のう管を介して袋状になっています。
この入り口の胆のう管は頭側にあるので、管を傷つけないように尾側から丁寧に剥離し、胆のうの全容がみえたところで、胆のう管から切り離します。
頭側から剥離すると、管を傷つけて、中から胆汁がピュッピュ出てきてしまうので注意ですb

内臓を取って綺麗に洗ったら、
あとはいつも通り、3枚におろしていきます。

もう半身も中骨から外します。

腹骨を取って、水気を拭き取ります。

磨いた身は、水気をとったあと身にキッチンペーパーを当て、皮目にラップが当たるようにして保存します。

左のボウルに入っているのが内臓で、
(苦玉が見えるけど、この後お店に持って行って取ってきましたw
右のバットがアラ。
これらは、坂巻温泉の鯉こくのように炊いていきます。
ここまで磨けると、感無量…!
わたし、(この15年)がんばったな!
と思ういっぽうで、
まだあと何回か捌かないとコツがつかめないな…と、
捌いた鯉を料理することよりも、
来月のことを考えているという。
あとはひたすら研鑽、研鑽!
お料理は、また別途♪