煮蛤に魅せられて

Wind is blowing from the Aegean〜♪
煮ハマは うみ〜♪

そう、そんな感じに歌いたくなってしまう煮ハマグリ。

そもそも、なんで煮ハマを作ろうと思ったのかといえば、
いつもの大井町のお魚屋さんにアサリを買いに行ったら、
「今日は、アサリよりハマグリのほうがお買い得だよー!」
と、言われて反射的に、
「じゃぁ、ハマグリもください」
と返事をしてしまったことから始まったのよね。

蛤なんて、慶事のときに頂くくらいで
まず滅多に使うことがない食材だけど、
あまりにもいいサイズだったから、
自分でお寿司屋さんの煮ハマが作れたら…(´-`).。oO
 

蛤の旬は、5〜10月の産卵期に向けて栄養を蓄える、2〜4月。
お寿司屋さんで桜鯛や蛍烏賊とともに煮蛤を見かけると、
あぁ、春だなぁ!と思える種のひとつ。

煮蛤は、人生で数えるくらいしか食べたことがないけれど
佃煮みたいなしっかりした味ではなく、
適度な歯応えとしっとりとした記憶の味を道標に、
炊いていこうと思います。
 

 

材料

<火入れ>
蛤 6個
水 400cc
酒 50cc
 →火入れした後の地が、蛤出汁に

<漬け地>
蛤出汁 10
みりん 1
濃口 0.5
砂糖 0.25

<ツメ>
漬け地 10
蜂蜜 0.5
※蜂蜜は、クセのない百花蜜やレンゲなど

  

火入れ①:殻ごと

火入れの方法は、「①殻ごと」と「②剥いてから」の2パターンあるので
まずは、殻剥きの仕方がわからなくても仕込める方法からいきますb

鍋に分量の水と酒を張り、水でゆすいだ蛤を入れ、とろ火にかけます。
急激な温度の上昇はタンパク質の凝固につながるので、ゆるやかに水温が上がるようにし、推定60度で30分ほど茹でていきます。

5分くらいすると、こんな感じににベロベロベロ〜っと口を開け始めるので、水温が上がりすぎないように、火加減をみていきます。

60度は、気泡がフツ、フツとでき始めるくらいの温度でです。
低温なら低温なだけいいかと言えばそうではなく、タンパク質を硬化させずに腸炎ビブリオなどの菌を死滅させる必要があるので、目安として60度で15分〜加熱します。

30分ほど茹でたら蛤を鍋から出し、身を崩さないようにしながら殻を取り外します。
思った以上にしっかりと貝柱が殻に付いているので、ステーキナイフや殻むき、ペティナイフなどで丁寧に取り外します。

エラを取り除く場合は、ここで取り除きます。
見てると、お店ごとにあったりなかったりなので、好み?

火力を上げ、茹で汁を約5分の1になるまで煮詰めてから、キッチンペーパーなどで濾して汚れを取り除きます。
漬け地の材料を入れ、60度くらいにまで冷まします。

冷ました漬け地に、蛤の身を入れ、丸一日〜ひと晩、冷蔵庫で寝かします。

 

火入れ②:剥いてから

最初に殻を剥くことで予め汚れを取り除き、火入れする方法です。
お寿司屋さんでは、この方法のほうが多いようです。

ステーキナイフや小型の牡蠣剥きなどを貝の隙間に入れ、貝の内壁(上蓋)に沿いながら両側にある貝柱を剥がします。
たまにガッチリ蓋をしている子もいますが、牡蠣よりも楽です。

貝のつなぎ目にある身は、ガバー!っと開けたりすると、ビリビリーっとやぶけてるので、指で優しく殻から剥がします。
下蓋側の貝柱にも内壁に沿って刃を入れ、殻から剥がします。

こんな感じに、ツルっと剥けます。

水管に鉄串を通します。
筒抜けになっているので、スっと通せます。

すべての蛤を通したら、水に入れ、軽くゆすぎ、砂などの汚れを取り除きます。

こんな感じ。

鍋に火入れの地(水と酒)を入れて、沸騰させます。

沸騰した湯に蛤を入れ、2分ほど茹でます。
茹でて火を入れる、というより、余熱で火を入れるようにします。

後日、65度くらいの低温で5分をやってみましたが、硬さに違いはないような気がします。

身の部分がふっくら丸くなり、張りが出たのを確認したらザルにあげます。
菌や寄生虫などの懸念があるので、生になりすぎないように注意ですb

エラを取り除く場合は、ここで取り除きます。

殻つきで火入れしたのと同じように、蛤出汁を約5分の1まで煮詰めてから、漬け地の材料を入れ、60度くらいにまで冷まします。
冷ました漬け地に、蛤の身を入れ、丸一日〜ひと晩、冷蔵庫で寝かします。

 

煮蛤のツメ

煮蛤の握り寿司といえば、
ハケでツメが塗られてから出される風景が目に浮かぶよね!

握るまえに、その「ツメ」を仕込んでおきます。
 

蛤を漬けておいた蛤出汁を、計量しやすい100ccほど取り出します。
100ccなければ、蛤出汁を10として他材料を計算します。

5gの蜂蜜を入れ、焦がさないように煮詰めていきます。
蜂蜜の種類に言及しているサイトがなかったのですが、蛤の味を濁らせないために、クセがなくコクのある蜂蜜がいいかも?と思っています。

今回は、百花蜜を使いました。
できれば、レンゲが使いたい…!

20分ほどゆっくり時間をかけて煮詰めると、こんな感じにカラメル状になるので、硬くなりすぎないところで火を止め、使うまで常温で冷ましておきます。
温度が下がるのに従い、揮発して凝固する分も考えておきます。

 

そして、握りに

酢飯は、こだわりがなければ市販のすし酢で十分オッケーです。
すし酢は1本あると、
ドレッシングにもマリネにも土佐酢にも使えるから超ベンリ♪

いちおう、すし酢の割です。

<すし酢(炊いたごはん1合分)>
米酢 25cc
砂糖 10g(大さじ1〜2)
塩 5g(小さじ1程度)

蛤に刃を入れて開き、ひと握りの酢飯に乗せて握ります。

このときは、蛤のお腹側?から開いたので、足が立ってウルトラマンみたいになってしまったけれど、たぶん、足から刃を入れる方が、主流だと思います。

蛤出汁を煮詰めて、煮詰めて仕上げたツメを塗って、完成です♡

 

蛤のすべてを頂く

ここまで、自分で仕込んでみると、
「煮蛤は、蛤のすべてを頂くお料理」だということがよくわかります。

ツメは、お醤油とお砂糖を煮詰めるんじゃないの?と思っていたし
実際、穴子のツメを塗るお店もあるみたいだけど、
濁りっけなしに蛤そのものを頂きたいと思えば、
蛤出汁でツメを仕込むのは必然だな、と思う。

火入れで出た蛤の出汁を、蛤に戻し、
蛤の出汁を煮詰めてツメにし、
蛤の旨味を溜め込んだ身と共に頂く。

何人たりとも立ち入ることのできない
完成された蛤ワールド。

素晴らしい…ッ!

そんなことに気づいてしまったので、
最近は、もっと煮蛤のことを知りたいと、
蛤を見かけてはお持ち帰りするように。

殻ごと火入れする場合は、
殻の中に閉じ込められている水分も一緒に漬け地になるので
蛤の味はかなり濃いですが、舌の脇が働くのが分かるので、
若干の雑味みたいなものが出るのかも?しれません。
もしかしたら、これこそが蛤なのかも??

いっぽうで、剥いて汚れを取り除いてから火入れしたものは、
とても爽やかな、透き通った蛤の味が頂けます。

どちらが美味しいかは、ほんと好み、でしょうか。
わたしは、殻ごとのほうが野趣味があってお酒に合うな〜!と思うし
お茶と頂くなら、剥いたほうが好きかなぁ〜?とか、
食べ合わせるものによって変えたいですが、
まだまだ、経験があまりに少ないのでひたすら探索中。

これだ!!
と思える煮蛤が作れる日がくるかどうかは…
いつもの「気分次第」というところで。

蛤さん、ありがとうの気持ちを込めて、

ごちそうさまでした♪♪

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